ASTRAXな人たちの宇宙人生劇場/Episode 25  宇宙居酒屋ゆかり | 岡田ゆかりさん

飛行機に乗って海外旅行をするように、宇宙船で旅する“宇宙旅行時代”が間もなく訪れようとしています。ASTRAXに出合い、宇宙を舞台に夢を実現しようとしている人たちは、普段は何をしていて、どのようなことをきっかけに宇宙とかかわるようになったのでしょうか。宇宙に活躍の場を広げようとする“ASTRAXな人たち”をご紹介します。


Episode 25 宇宙居酒屋ゆかり 岡田ゆかり(おかだ ゆかり)さん

居酒屋をやりたかったので、店名の頭に宇宙をつけました。

「なんでも頭に宇宙をつければいいんですよ」


── 宇宙居酒屋ゆかりはどうやって生まれたのですか?
もともと居酒屋をやることは決まっていたのです。ただ、名前が決まっていませんでした。
そのときにたまたま「宇宙と食」がテーマの民間宇宙飛行士山崎大地さんの講演会に参加したんです。講演の中でも、「これからは宇宙の時代ですから、なんでも『宇宙』ってつけるといいですよ。」とおっしゃっていました。
講演後の懇親会でさっそく山崎さんに「居酒屋をやりたいのですが『宇宙居酒屋ゆかり』ってどうでしょう?」と伺ったところ、真顔で「それはおかしいんじゃないですか?」という講演中では真逆の回答が返ってきてびっくり!
でもその後に、「宇宙に行った酵母菌で作った焼酎や宇宙カレーとか、置いてみたらどうですか?」とアドバイスをくださいました。
そこから『宇宙居酒屋ゆかり』が始まりました。

移動式でお店をやっていた時

── 宇宙居酒屋ゆかりを紹介してください。
2014年に東京都足立区で始め、2021年現在は茨城県坂東市にある居酒屋です。秀緑という坂東市観光交流センターの中にあります。
坂東に引っ越してきた時は、お店がなくて車を使った移動式のお店をしていました。

それをみた秀緑の関係者の方が、「面白いから秀緑にお店出してみない?」と誘ってくれたのがきっかけで今にいたります。
お店の中には、歴代の国連世界宇宙週間*のポスターが貼ってあったり、月の土地の権利書が飾ってあったり、宇宙焼酎が置いてあったり、と宇宙感が出ています。また、お店の中の壁や窓ガラスにラーメン屋さんのメニューを真似たデザインで「月の土地販売中」「無重力あります」「宇宙旅行はじめました」が貼ってあります。
山崎大地さんのアドバイス通り、宇宙焼酎や宇宙カレーを始め、マスターが作るなつかしのナポリタンやコーヒーも楽しめます。
ちなみに、もちろん月面にもお店があります。

秀緑内のお店の様子

名刺デザイン

── 名刺もとてもインパクトがありますよね。
はい。名刺にももちろん宇宙居酒屋ゆかり、と書いてあるので「どんな居酒屋なんですか?」と食いつかれる方が多いです。それだけでお話もはずみます。あとは、「お店の名前だけ知っていて一度来たいと思っていたんです。」という方も。

店名に「宇宙」と付いているのは良くも悪くも印象に残るみたいで、「なんかあやしいよね」と言われることもあるみたいです。でも最近ケータリングもやっているんですが、一度利用していただくと「意外と?ちゃんとしてるじゃない。」とリピートしてくださる方も増えてきています。


── お客様はどんな方が多いですか。
まず、お店を素通りする人が多いです。でもその時のリアクションがとても面白いんです。
窓ガラスに貼ってあるメニューを見て「なに〜これ〜?」と。お店の中にいるので声は聞こえないのですが、明らかに言ってる。そして、視線は窓ガラスに釘付けのまま、お店の中には入らずそのまま通過していく人がすごく多いです。店内から見ているとコントみたいで本当に笑ってしまいます。
そんな人達が多い中、看板を見て「これはどういう意味ですか?」とお店の中に入ってくる方がいらっしゃいます。そういう方は好奇心が旺盛だったり、個性的だったり、自分の軸を持っている方が多いですね。あまりにも入ってくる人が少ないので、人が入ってくるとこっちがびっくりして「何で入ってきたの?」と聞いてしまうこともあります。(笑)
で、一度店内に入るととても居心地がいいみたいで。ほぼ皆さん常連さんになってくれます。ブラックホールにようこそ!
うーん、考えてみると普通の人は入ってこれないみたいです。

マスターとゆかりさん

── 今後の展望はありますか。
まずは初心に還ろうと思っています。常連さんが増えてくると、宇宙の情報を知っているのが普通になってしまって、例えば宇宙に行くことが前提でお話をしてしまったりするんです。私の周りには山崎さんをはじめ、宇宙に行く予定の人が多くて知らず知らずに当然のことになっていました。でも実はそう思っていない人ってたくさんいるんですよね。宇宙に行くこと、宇宙の情報を伝えることでワクワクや勇気を与えられるんだ、ということを思い出して、1から丁寧に宇宙を伝えるということもやっていきたいな、と思います。
『宇宙居酒屋ゆかり』という店名も『宇宙宇宙言ってんじゃねーよ宇宙居酒屋ゆかり』なんて名前にするのもいいかな、と思ったりしてます。

話題の看板!

── マスターの岡田裕喜さんにも一言いただきました!!
私が『宇宙居酒屋ゆかり』のブラックホールに吸い込まれたのは 2014年5月16日。
今では マスターをやらせていただいてます。 当時は足立区の居抜き物件で宇宙居酒屋オープンしたばかり。看板は居抜きのまんま、『談話室ゆかり』でした。
その年の国連世界宇宙週間イベントで山崎顧問はじめ常連のお客様達と看板を宇宙居酒屋に作り替えたのを懐かしく思い出します。
あの頃のようにまたハッちゃけて皆んなで宇宙に行けるよう楽しみたいと思います。

*国連世界宇宙週間とは・・・
毎年10月4日〜10日は、宇宙科学技術が人類の発展に貢献してきたことを世界的に祝い、宇宙への関心を高めることで、宇宙空間の探査と平和的利用についての国際協力を促進しようと、1999年の国連決議で定められた国際週間です。詳細はこちら