飛行機に乗って海外旅行をするように、宇宙船で旅する“宇宙旅行時代”が間もなく訪れようとしています。ASTRAXに出合い、宇宙を舞台に夢を実現しようとしている人たちは、普段は何をしていて、どのようなことをきっかけに宇宙とかかわるようになったのでしょうか。宇宙に活躍の場を広げようとする“ASTRAXな人たち”をご紹介します。
Episode 4 葬儀プロデューサー|葛西智子さん
星になりたかった私が「宇宙散骨」を手がけるまで
セレモニーレディから始まった、仕事としての「葬儀」
── 葬儀プロデューサーのお仕事は、一般の葬儀会社の仕事とどう違うのですか?
最近はさまざまなニーズがあり、一人ひとりに合ったお見送りの方法を提案する形が増えています。故人の希望や遺族の特別な思いを叶えようと独自の葬儀を望まれる場合に、葬儀会社から依頼を受けて、葬儀全体をプロデュースするのが私の仕事です。具体的には音楽葬や生前葬などが多いのですが、会場設営から司会・ご遺体搬送まで、仕事の範囲は多岐に渡ります。セレモニーレディとして補助的な仕事から、葬儀業界に入って25年。当時は式場に女性スタッフが入れなかったり、女性が棺に触れることも許されなかったりと、古い考えが根強く残る世界で、司会も女性がやるなどもってのほかという時代でした。
最近はさまざまなニーズがあり、一人ひとりに合ったお見送りの方法を提案する形が増えています。故人の希望や遺族の特別な思いを叶えようと独自の葬儀を望まれる場合に、葬儀会社から依頼を受けて、葬儀全体をプロデュースするのが私の仕事です。具体的には音楽葬や生前葬などが多いのですが、会場設営から司会・ご遺体搬送まで、仕事の範囲は多岐に渡ります。セレモニーレディとして補助的な仕事から、葬儀業界に入って25年。当時は式場に女性スタッフが入れなかったり、女性が棺に触れることも許されなかったりと、古い考えが根強く残る世界で、司会も女性がやるなどもってのほかという時代でした。
── そんな閉鎖的な業界で、女性初の司会をなさったのが葛西さんですね。
葬儀会社に勤めているとき、先輩男性がやっている機械的な進行の司会にずっと違和感がありました。私のほうがご遺族の心情を正確に伝える司会ができるのにと思ったんです。というのも、私は元々声優志望で、この業界に入る前は保険の仕事をしながら結婚式などの司会もしていましたから。葬儀には独特の作法や知っておくべき宗教の知識などがあるので、葬儀司会専門のスクールでイチから勉強。クラスに女性はひとりだけ、そういう時代でした。小・中・高校と仏教の学校に通っていた事が大いに役立ちました。いまでは葬儀の司会を女性がすることも当たり前になりましたし、女性ならではの心遣いを求めて、女性の司会を希望される方も増えました。
葬儀会社に勤めているとき、先輩男性がやっている機械的な進行の司会にずっと違和感がありました。私のほうがご遺族の心情を正確に伝える司会ができるのにと思ったんです。というのも、私は元々声優志望で、この業界に入る前は保険の仕事をしながら結婚式などの司会もしていましたから。葬儀には独特の作法や知っておくべき宗教の知識などがあるので、葬儀司会専門のスクールでイチから勉強。クラスに女性はひとりだけ、そういう時代でした。小・中・高校と仏教の学校に通っていた事が大いに役立ちました。いまでは葬儀の司会を女性がすることも当たり前になりましたし、女性ならではの心遣いを求めて、女性の司会を希望される方も増えました。
── 時代の先駆けとなられた葛西さんが「宇宙散骨」をしようと思われたきっかけは何でしょう。
最初に入った葬儀会社では「海洋散骨」も手がけていたので、実際にセスナや船でお骨をまくお手伝いをしていたのですが、私は泳ぎが苦手なこともあり「死んだあと、海にまかれるのは嫌だな」と心のなかで思っていました。だからといって、土の中に埋められるのも嫌。子どもの頃、地中に埋められた曾祖母のお骨を見たときに「暗いところに閉じ込められてかわいそう。私は死んだら夜空に煌めく星になりたい」と思ったことが、いま思い起こせば原点なのかもしれません。葬儀会社に10年勤めてから独立。葬儀の仕事をこなしながら、いつしか海ではなく、宇宙に散骨できないものかと考えるようになりました。
最初に入った葬儀会社では「海洋散骨」も手がけていたので、実際にセスナや船でお骨をまくお手伝いをしていたのですが、私は泳ぎが苦手なこともあり「死んだあと、海にまかれるのは嫌だな」と心のなかで思っていました。だからといって、土の中に埋められるのも嫌。子どもの頃、地中に埋められた曾祖母のお骨を見たときに「暗いところに閉じ込められてかわいそう。私は死んだら夜空に煌めく星になりたい」と思ったことが、いま思い起こせば原点なのかもしれません。葬儀会社に10年勤めてから独立。葬儀の仕事をこなしながら、いつしか海ではなく、宇宙に散骨できないものかと考えるようになりました。
2016年だったでしょうか。マヤ暦を観てもらいに鎌倉まで来たときに、どんな夢があるのかと聞かれて「死んだら星になりたい」と話したんです。葬儀の仕事をしているので、自分だけでなく、希望するすべての人の宇宙散骨を実現させたい。でも、宇宙の仕事をしている知りあいがいないので、地団駄を踏んでいるところだと話したら、その方が「民間の宇宙飛行士を紹介するよ」と言ってくださって。それが山崎大地さんでした。お会いしてすぐに「宇宙に遺骨をまきたいんですけど、可能ですか?」と聞いたら、拍子抜けするくらい即答で「大丈夫ですよ」って。長年の夢を実現する道がひらけた瞬間でした。
現地視察で高まった「宇宙散骨」にかける思い
── すでにある「宇宙葬」と葛西さんが企画されている「宇宙散骨」は、どう違うのでしょうか。
既存の「宇宙葬」は無人ロケットにお骨を詰めて飛ばし、宇宙空間でロケットごと燃やしてしまうもの。アメリカの代理店と契約して日本でも受け付けているようですが、私がやりたいのは宇宙空間まで運び、人の手で散骨することなので、まったく違います。燃やしたら消えてなくなってしまいますから。人の手でまき、宇宙空間に漂い続けることによって、故人は宇宙から地球上の家族を見守り、家族は夜空を見上げるたびに大切な人を思い出すことができる。それが、私が進めている「宇宙散骨」です。生きているうちに大切な人と宇宙に行く「生前葬」も計画していて、散骨を予定されている方には下見にもなります。
── 葛西さんの願う形の「宇宙散骨」は、いつ実現する予定ですか?
ヴァージン・ギャラクティック社の「ユニティ」か、Amazon創設者のジェフ・ベゾス氏が進めているブルーオリジン社の「ニュー・シェパード」、2019年にはどちらかで宇宙旅行が実現するといわれています。昨年9月、アリゾナ州・ツーソンへ視察に行ってきたのですが、宇宙船が飛び立つ予定地を数カ所回り、宇宙船の見学もして、いよいよだなと思いが高まっています。アメリカには宇宙旅行を申し込んでいる一般の人がたくさんいて、なかには杖をついた90代と思しきお爺さんも。「生きているうちに宇宙に行くのと宇宙散骨、どちらが早いかな?」とジョークを飛ばしていました。彼には、ぜひお元気なうちに宇宙旅行をしていただきたいですし、私の夢である「宇宙散骨」も1日も早く実現できれることを願っています。
プロフィール
葛西智子(かさい・ともこ)
葬儀プロデューサー。N・T・Kプランニング代表取締役。宇宙散骨、宇宙生前葬を手掛けるASTRAX MEMORIAL代表でもある。芸能プロダクション所属、結婚式司会などを経て、1993年より葬儀事業に従事。2003年にN・T・Kプランニング設立。音楽葬など記憶に残る葬儀の演出には定評がある。
http://ntk-planning.com/
株式会社 ASTRAX MEMORIAL
https://www.facebook.com/Astrax.Memorial/