飛行機に乗って海外旅行をするように、宇宙船で旅する“宇宙旅行時代”が間もなく訪れようとしています。ASTRAXに出合い、宇宙を舞台に夢を実現しようとしている人たちは、普段は何をしていて、どのようなことをきっかけに宇宙とかかわるようになったのでしょうか。宇宙に活躍の場を広げようとする“ASTRAXな人たち”をご紹介します。
Episode 1 絵本作家 | まゆこさん
子どもたちに伝えたいのは、“夢を持つことの大切さ”
絵本作家になりたかった夢を『ロケット王子』が叶えてくれた
── 『ロケット王子』が誕生したきっかけをお聞かせください。
ふふ、そうなんです。『ロケット王子』のいいところはファンタジーで終わらずに、宇宙の現状もわかるようになっていること。音楽を燃料にして飛ぶという設定で、コックピット内の操作ボタンはキーボードにするなどファンタジー要素満載ですが、ヴァージン・ギャラクティック社のスペースシップツーをモデルにするなど、山崎さんにアドバイスをいただきながら制作しているので、子ども向けの絵本だけど、見る人が見たら「おっ!」と思ってもらえるような作りになっています。NASAの宇宙飛行士や北原さんなど、実在する人物もキャラクターとして登場していますし、松本零士先生が出ているシーンもあります。
このあと6冊プラスするので、計12冊でシリーズが完結する予定です。紙の本として出版しているのは日本語だけですが、データでは英語版やスペイン語版など6ヶ国語に翻訳しています。今後はアプリ化して100ヵ国語にまで広げ、世界中の人たちに読んでもらうことを目指したいです。この先のストーリーはもうできているのですが、ほかの仕事との兼ね合いもあり、なかなか進まず……。表紙や宇宙背景はイラストレーターで作成しますが、その他は画用紙に超極細0.28ミリのボールペンと色鉛筆を使って、手書きで丁寧に描いていて。なるべく早く世に出せるよう頑張りたいと思います。
この企画に賛同してくださる方が次々と現れてありがたい限りです。ミュージカルは2015年に小さなホールから始まりましたが、2017年10月には銀座・博品館劇場での公演も実現しました。ミュージカル用に作った曲をCDにしたり、新たにカードゲームが完成したりと、みなさんのおかげで『ロケット王子』の世界がどんどん広がりつつあります。プラネタリウムでの上映も始めていて、いずれは全国のプラネタリウムで、『ロケット王子』プログラムが見られるようにしたいなとも考えています。私が絵本作家になりたいという夢を『ロケット王子』で叶えたように、『ロケット王子』が誰かの夢を叶える存在になることはうれしいですね。
『ロケット王子』は鎌倉市の保育園・小学校・中学校そして図書館に寄贈しているので、読書感想文の公募展を、まずは鎌倉から始めてみたいと考えています。その他、コラボ企画も進行中ですし、『ロケット王子』の世界はまだまだ広がっていきそうです。先日、ある小学校へ絵本の作り方を教えに行きましたが、どの子も目がキラキラしていて、わき目も振らず取り組む姿勢に心を打たれました。将来、絵本作家になりたい子だけでなく、すべての子どもたちに夢を持つことの大切さと、夢を叶えるためには多くの人たちに助けてもらい、協力し合って叶えていくということをこれからも伝えていきたいです。
まゆこ
絵本作家、イラストレーター。ASTRAX STUDIO代表。慶應義塾大学環境情報学部卒業後、富士通、ITベンチャー企業を経て、フリーのイラストレーターとして活動開始。2013年より『ロケット王子』シリーズを制作するほか、WEBデザイン、イラスト、キャラクターデザインなども手掛けている。
http://astraxstudio.wixsite.com/the-rocket-prince
http://astrax-studio.space/