飛行機に乗って海外旅行をするように、宇宙船で旅する“宇宙旅行時代”が間もなく訪れようとしています。ASTRAXに出合い、宇宙を舞台に夢を実現しようとしている人たちは、普段は何をしていて、どのようなことをきっかけに宇宙とかかわるようになったのでしょうか。宇宙に活躍の場を広げようとする“ASTRAXな人たち”をご紹介します。
Episode 2 ASTRAX ACADEMY代表 | 岩崎恵一さん
宇宙を舞台に活躍する「民間人」を育てたい
ノルマの達成に追われた会社員時代
── ASTRAX ACADEMYを運営されている岩崎さん。以前はどのようなお仕事をされてきたのでしょうか。
宇宙とはまったく関係のない仕事ばかりしてきました。料理学校でフランス料理を学んだあと、ホテルでイタリア料理担当のコックとして働いたのが、社会人としてのスタートです。長時間立ちっぱなしの仕事なので、椎間板ヘルニアで腰を痛めてしまったことと、特有の人間関係に疲れたこともあり、4年で退職しました。それまで料理を作ることしかやってこなかったので、求人誌を見て「未経験歓迎」「頑張った分、成長できる」という文言に惹かれて入ったのが携帯電話の販売会社です。当時、ポケベルやPHSから携帯電話に移行する時期で、携帯電話の契約台数が右肩上がりで伸びていた時代でした。
販売員として入って、店長、エリアマネージャー、統括部長、店舗企画・教育・開発を経て、最後は執行役員にもなり、トータルで14年半も在籍しました。あるとき社長や会長が「営業はゼロをイチにする仕事だ」と熱く語るのを聞いて、「自分はこのままでいいのか」と考え直すきっかけとなりました。彼らが発した言葉と直接関係はないのですが、会社の立てた目標の数字を達成することばかりに追われてきた私には、「会社の目標ではなく、自分自身の夢を持て」というように聞こえたのです。その後、携帯の販売会社を辞めてから保険営業の仕事をしつつ、社会人教育をしているNPO法人を手伝いはじめたことが、いまの仕事につながっています。
「宇宙」「ASTRAX」と出合って見つけた自分の夢
── 山崎さんとの出会いは、その頃でしょうか。
2016年にNPO法人が主催する著名な経営コンサルタントの講演会があり、私が司会を務めていて、その日ゲスト出演されたのが山崎大地さんでした。火星に80日で行ける時代が来るとか、土星には10年以内に行けるようになるとか、聞いたことのない話がどんどん飛び出して、とにかく驚いて。子どもの頃ほんの少しだけ宇宙飛行士に憧れていた時期があったこともあり、さらに詳しく聞きたいと、後日アポを取って会いに行きました。山崎さんから聞く宇宙の話は目からウロコの連続で、なぜニュースで見聞きする情報と、山崎さんの話が乖離しているのかと不思議に思いました。
そうなんです。山崎さんにお会いしたことで、漠然といずれ独立して教育機関を作ろうと考えていたことが一気に具体的なイメージとして湧いてきました。山崎さんは各所で講演をされていますが、1回だけの講演ではもったいないんじゃないか、山崎さんを講師とした最新の宇宙事情を学べる教育機関を作りたいと。早速、山崎さんに相談して、講師を依頼したら、即OK。宇宙といえばNASAであるように、民間で宇宙といえばASTRAXというようにしたいという山崎さんの考えを聞いていたので、名前はASTRAX ACADEMYに決めました。2017年4月に会社を設立して、7月に開講。あっという間の1年でした。
民間人だからこそ生まれる自由な発想
── 宇宙教育を民間で行う意義をお聞かせください。
日本では、宇宙に関連することは民間ではできないと思い込んでいる人があまりに多く、世界から大きく出遅れている状態です。まず宇宙=国家事業という固定概念を払拭させること。それは、アメリカの事例を見れば明らかです。これから始まる宇宙旅行時代には、これまでなかったさまざまな商品やサービスが必要になることが容易に想像できます。ロケットを飛ばすには莫大な資金がかかりますが、無重力空間で利用する商品やサービスなど、ソフト面であれば、いまからでも参入可能な分野だと考えています。そのために必要な専門知識や技術を教えてくれる教育機関がなかったので、ASTRAX ACADEMYを設立したというわけです。
民間人だからこそ生まれる自由な発想
── 宇宙教育を民間で行う意義をお聞かせください。
日本では、宇宙に関連することは民間ではできないと思い込んでいる人があまりに多く、世界から大きく出遅れている状態です。まず宇宙=国家事業という固定概念を払拭させること。それは、アメリカの事例を見れば明らかです。これから始まる宇宙旅行時代には、これまでなかったさまざまな商品やサービスが必要になることが容易に想像できます。ロケットを飛ばすには莫大な資金がかかりますが、無重力空間で利用する商品やサービスなど、ソフト面であれば、いまからでも参入可能な分野だと考えています。そのために必要な専門知識や技術を教えてくれる教育機関がなかったので、ASTRAX ACADEMYを設立したというわけです。
「民間宇宙ビジネスコース」「民間宇宙飛行士養成コース」「宇宙旅行者準備コース」など、現在8つの基本コースを中心に運営しています。夏休みには子どもたちに向けた「無重力飛行サービス」やセミナーなども同時に行っています。目指しているのは、宇宙人材教育を行って、ここで学んだ人が民間宇宙ビジネスを自ら立ち上げるようになること。日本から新たな宇宙ビジネスを立ち上げる人たちが続々と出てくることに期待しながら、これからも最新の宇宙情報を伝える場を、より多くの人たちに提供していきたいです。
プロフィール
岩崎恵一(いわさき・けいいち)
1977年生まれ。コック、携帯販売会社、保険営業などを経て、現在ASTRAX ACADEMY代表として宇宙を使ってビジネスをしたい人や宇宙に行きたい人など宇宙について学びたいという人たちのための学びの場を提供している。
http://astrax-academy.space/